映画『スターシップ・トゥルーパーズ インベイジョン』 荒牧監督&すたじおぬえ宮武氏トークイベントレポート

By, 2012年7月18日




              ▲左:荒牧監督 右:宮武さん

日時:7月17日(火) 18:30~
場所:ソニー・ピクチャーズ 試写室

世界中で熱狂的な支持を集める大人気シリーズの最新作で15周年記念作品となる『スターシップ・トゥルーパーズ インベイジョン』。まもなくの公開を控え7月17日(火)に都内で試写会が行われ、ハリウッドの熱烈なラブコールを受けて本作のメガホンを握った荒牧伸志監督と「超時空要塞マクロス」シリーズなど数多くのアニメーション作品でメカニックデザイナー、コンセプトデザイナーとして活躍する宮武一貴氏がトークイベントに出席した。

宮武さんと言えば本作の原作「宇宙の戦士」(ハヤカワ文庫)の挿絵を加藤直之氏とともに手がけ“パワードスーツ”を視覚化した人物。その後の「機動戦士ガンダム」をはじめとするロボットアニメ誕生に大きな影響を与えた。荒牧監督が、宮武さんの存在に初めて触れたのはもう40年ほど前の小学校の頃。「『マジンガーZ』のエンドロールに出てくるメカの緻密さにやられました。『宇宙の戦士』のパワードスーツは僕にとってはスタート地点。そこからここまでやってこれました」と感慨深げに語った。

この日のトークイベントも「パワードスーツの深イイはなし」と銘打たれて行われたが、宮武さんは今回の最新版映画について、自身が挿絵を担当した原作小説を指しつつ「ようやく、これ(原作小説)の呪縛から逃れられるかなと思います」と独特の表現で荒牧監督のオリジナリティを称賛。「原作が発表されたのは僕が10歳のときで、単行本で僕が挿絵を描いたのは1977年。みんな、何年こんな昔のものに呪縛されてるんだ? と思ってました。どこまで行っても僕が描いたのは小説の挿絵です。映画、アニメとメディアが変わればデザインは根本的に変えなくちゃダメ。何十年も前のものをそのまま映画化できるわけがないんです」と持論を展開する。

荒牧監督は「僕にとっては(宮武さんの絵が)原点なので確かに呪縛がある」と認めつつ「だからこそ、今回は僕が自分でデザインするのではなく、あえてゲーム業界の人間にアプローチしてもらったりした。違うアングルに行かないと中途半端になるので」とこれまでとは違う視点によるデザインを強調。これに対し宮武さんは「正解が見られたと思います。原作にある“金属製のゴリラ”という表現にみんなこだわるけど、そのこだわりを捨ててソフトな素材でやってるがゆえに現代的になっていると思います」と同調。監督は「感無量です」と大先輩の言葉にホッとした様子だった。

ちなみに監督は、アメリカのサンディエゴで開催されたエンターテイメントの祭典「コミコン」に本作を携えて出席し、本日帰国したばかり。「笑いどころもこちらの狙い通りに笑ってもらえてよかったです」と手応えをつかんだよう。上映後の質疑応答にも多くのファンが残って参加したそうで「『なぜ実写ではなくCGIで作ったのか?』などかなり突っ込んだ質問も出ました。スケール感を取り戻したいし、キャラクターの表現に自信がついたから、ということを伝えました」と熱烈なファンとの熱いやり取りの一端を明かした。

今週末より公開を迎えるが、監督は改めて「僕にとっては原作の『宇宙の戦士』がスタートであり、原作と(映画版の)『スターシップ・トゥルーパーズ』をひとつにするという作業でした。ひとつの答えとして形にできたのではないかと思います」と自信をのぞかせる。

宮武さんも「(登場人物の)リコが良かったです。どう良いかは映画を見てください」とこれから作品を見る観客の期待をあおった。

【荒牧伸志監督プロフィール】
1960年10月2日、福岡生まれ。メカニックデザイナーとしてアニメーション界で頭角を現わし、OVA『メタルスキンパニック MADOX-01』(88)で原案を手がけるとともに監督デビュー。04年「攻殻機動隊」の士郎正宗原作による『APPLESEED』を発表。フル3DCG、トゥーンシェーディング、モーションキャプチャーという手法を用いた、この画期的な作品は日本のファンは元より海外でも称賛の声を集めている。07年に続編『EX MACHINA』を監督し、ここでも高評価を獲得。そのほかアニメや邦画で数多くの作品のメカニックデザインを担当している。

【宮武一貴さんプロフィール】
スタジオぬえ所属のメカニックデザイナー、コンセプトデザイナー。
本作の原作「宇宙の戦士」(ハヤカワ文庫版)の挿絵を同じスタジオぬえの加藤直之氏と共同で手掛け、パワードスーツを視覚化し、機動戦士ガンダムをはじめとするリアルロボットアニメの誕生につながった。
主な代表作に「勇者ライディーン」「聖戦士ダンバイン」「ガンダムSEED」シリーズ、「超電磁ロボ コンバトラーV」「宇宙戦艦ヤマト」「超時空要塞マクロス」シリーズ、「交響詩篇エウレカセブン」など

『スターシップ・トゥルーパーズ インベイジョン』は7月21日(土)より新宿ピカデリーほか全国ロードショー。

●『スターシップ・トゥルーパーズ』公式サイト
http://www.ssti.jp/