タレント活動をおこないながら、2010年に『ヤヌス』(講談社Birth)で作家デビュー。本書がデビュー第二作となります。
文庫オリジナル作品として刊行される本書は、孤独な少女と青年との心の交流が美しく描かれ、誰の胸の奥にもあるであろうノスタルジックな感情を想起させます。
それだけではなく、主人公を襲うある事件とそれにまつわる意外な真相など、ミステリ的興趣も併せ持つ作品でもあるのです。物語の各所にエバーグリーンな輝きを湛えており、小説を好むかたがたに、長く愛し続けていただきたい佳品に仕上がりました。
また、うえむらは広島の出身であり、舞台となる広島の描写、盆灯籠という重要な小道具の使いかたも鮮やかで、かつ、物語のなかで見事に昇華させています。
【書籍概要】
『灯籠』 うえむらちか著
2012年6月8日(金)発売
『ハヤカワ文庫JA』刊
定価651円(税込)*本体価格620円
【あらすじ】
広島に過ごす孤独な少女・灯(ともり)は、盆灯籠が似合う夏の日に、正造と名乗る青年と出会う。正造は、灯の心のなかに、いつの間にか消えないあかりを灯していた。少しずつ灯は、正造に心を開きはじめる。
しかし、正造は、お盆の時期にしか会うことができないのだという。そんな正造との逢瀬が、いつしか灯の生きる糧となっていったが……。
(うえむら ちか プロフィール)
1985年、広島県生まれ。
CM「アイフル」、ドラマ「ライフ」、映画「白椿」「ももドラ」出演や、
ラジオパーソナリティ、4コマ漫画連載など女優、タレントとしてマルチに活躍中。
2010年4月には『ヤヌス』で小説家デビューを果たす。
【うえむらちか コメント】
―本を出版するにあたり今の気持ちをお聞かせ下さい。
二作目になりました。一作目は何も分かっていない状態での出版だったので、今作は、本を作るってもの凄いエネルギーの要ることなんだなぁ、と噛みしめながらここまできました。
―どのような思いで書きましたか?
地元広島の盆灯籠をモチーフにお話を書きました。
このお話を思いついたのは今から八年前です。長い間温めてきた話でもあるので、
一文一文を大切に、読んでくれている人の頭に映像が浮かぶようにと描きました。
―読者に向けてのメッセージをお願いします。
小さい頃からお話を作ることが夢だったので、このような機会を与えていただき、本当に嬉しく思っています。
少しでも興味を持って頂き、たくさんの方がこの本に出会えること楽しみにしています。
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