3rdシングル「パンドラの夜」をリリースしたARTERY VEINを直撃！
今井麻美と喜多村英梨のユニット・ARTERY VEINの3rdシングル「パンドラの夜」が8月24日に待望のリリース！ こちらは人気PSPゲームの続編『コープスパーティー ブックオブシャドウズ』EDテーマとなっている。レコーディングを終えた、VEINさんこと今井麻美さん、ARTERYこと喜多村英梨さんにお話を伺った。
―今回、3rdシングルがリリースされるにあたっての率直な感想をお願いします。
喜多村英梨さん（以下、喜多村）：今回もARTERY VEIN節が炸裂の、凛とした曲に仕上がっているな、というのが最初の感想でした。こちらは『コープスパーティー ブックオブシャドウズ』EDテーマになっているのですが、前向きな内容になっているのは詞からも分かりました。ですから、このゲームにマッチすると自信を持って答えられるような曲に仕上がるのではないかとレコーディングをする前から確信しました。
今井麻美さん（以下、今井）：私がこの曲を初めて聴いた時は、まだデモの段階だったのですが、その時に「すごく素敵な曲だな、と思ったのですが、その後アレンジなどが加わり、肉付けされていった段階で、同じメロディなのですが、生まれ変わったような感覚になりました。「ARTERY VEINっぽさを曲に乗せるとこうなるんだろうな」というのが体感できたので、「音楽って面白い！」と改めて思える曲でしたね。
私はARTERY VEINのVEIN（静脈）さんとして歌わせていただいているので、躍動感プラス、表面上は冷たく見えて、内面にアツいものを秘めている、という気持ちでレコーディングに臨ませていただいたので、曲が仕上がった時にARTERY（動脈）さん（喜多村さん）の燃え上がるヴォーカルと合っているのを聴いて、素晴らしいと感じました。
―お二人ともゲームにも出演されていますが（今井麻美：篠崎あゆみ役／喜多村英梨：持田由香役）、そこも意識して歌われましたか？
喜多村：ARTERY VEINのキャラクター性からはかけ離れたイメージの人物を演じていますので（笑）、ある意味すみ分けができているかな、と思います。作品の色や物語を知った上で歌っているので、感情やニュアンスをつけやすかったですし、今井さんが演じたあゆみも事前に台本を読んで、どういう方向にストーリーが進むのかはある程度分かっておりました。
ARTERY VEINは同じ日にレコーディングをするのが基本なのですが、あゆみのテーマソングにもなりえるような、悲痛な妖艶さというのを感じました。
これまでの曲では、クールな無機質さを持った今井さんに対してアツい感情を込めて歌ってました。今回はこのゲームの世界観でもある切なさ、悲しみが、VEINさんの持ち味である妖艶なハーモニーに支えられているような気持ちでレコーディングしました。
今井：前作『コープスパーティー リピーティッドフィアー』の時に、ARETRY VEINとして、EDテーマ「Confutatisの祈り」を歌うという大役を任されたのですが、その時は、正解のルートでクリアしなければ私たちの曲が聴けない、という仕様でしたので、プレイ中は、ゲーム自体の恐怖と戦いながら「ARTERY VEINの曲を聴くぞ！」という一心で臨んでいたのを思い出しながら（笑）、「あの時の曲がみなさんに受け入れられた結果なのかな」と嬉しく思いました。
「Confutatisの祈り」に比べて、今回は躍動感が増しているようなイメージがありまして。これで終わりではなく、次につながっていくような曲になっていますので、そういう意味でも「ARTERY VEINをよろしく」と声を大にして言いたいところでございます。
喜多村：ございます（笑）。
―レコーディングで、どちらが先に録った、というのは意識したりしますか？
喜多村：どちらがハモリを担当する、というようなユニットではないので、お互いに思いの丈、お互いの持っていない引き出しをぶつけあって「今回もいい曲になったな」というのが毎回ですね。お芝居同じで、相手がいるからこそ、こちらも思わぬ演技ができる、というような感覚です。ですので、大変だった、という思い出は正直ないです（笑）。
今井：誰かが歌っているのをブースの中ではなく、その外から聞けるということは中々ないので、同じ時間に録らせていただけるのは色々な意味で刺激になります。ちなみにVEINさんは「ARTERYさんが先でいいよ」と大抵先に譲ります。「歌いたくないんでしょう？」とスタッフによく言われますが、違います。ARTERYさんに先に歌って欲しいんです（笑）！
―曲の中で気に入っている歌詞やメロディはありますか？
喜多村：サビ頭の「君に聴こえている？」の部分のメロディーラインがカッコよくて好きです。問いかけになっている部分にARTERY VEINがスッとあてはめて歌っていく、という感覚が、レコーディングをしていても、つい悦に浸ってしまうというか（笑）。二人でハモっている部分でもありますので、気持ちよく歌えました。今回も「儚い」や「響く」といったARTERY VEINらしいフレーズが多いですね。
今井：歌詞もメロディーも迷いがなく聴いただけでARTERY VEINらしさが出ているな、という印象を受けるのですが、そういう雰囲気が好きな方には今回の曲も気に入っていただけると思います。面白エピソードになってしまうのかも知れませんが、タイトルでもある「パンドラの夜」という言葉を、練習ではずっと「パンドラの箱」と言ってしまっていて（笑）。それも、歌いづらいな、言いにくいなと思っていたのにずっと（笑）。
その後、先録りしたARTERYさんが歌っているのを聴いて「夜だよ夜！」と気づいて（笑）。すごく印象的なフレーズになりました。今では「パンドラの夜」で馴染んだんですけど、文字を見ると、恥ずかしい気持ちでニヤニヤしてしまいます（笑）。
―C/Wの「ただ一つの物語」を歌われてみての感想をお聞かせ下さい。
今井：第一印象は純粋に「歌詞が短いな」と思いました（笑）。ARTERY VEINでこんなに短いのは初めてだと思います。「こんなに短くて大丈夫かな？」と（笑）。
喜多村：この曲が『コープスパーティー ブックオブシャドウズ』のEDテーマでもいいかな、と思いましたね。刹那に揺れるサウンドが、言葉が少なくても伝えるものがある、というか。このCD1枚がまるまる『コープスパーティー』色に染まっているな、と思えるくらいに入り込める、すごく好きな曲です。
―ではC/W曲の中で、気に入っている歌詞やメロディはありますか？
今井：2番の最初の「病葉（わくらば）」という歌詞が読めなかったんです。
濱田智之P：これは、病気になってしまい、もう落ちてしまう葉っぱのことです。
喜多村：仮歌の人が、何て歌っているのか分からなかったんですよね（苦笑）。
今井：家に帰って辞書で調べました。「ARTERY VEINの活動をしていると勉強になる！」と思いました（笑）。
―喜多村さんはいかがですか？
喜多村：同じ部分が印象に残ったのですが、自分のパートじゃないので、分からなくてもバレないと思って（笑）。でも、「こういうパンチの効いたフレーズがあるからこそARTERY VEINの曲なんだろうな」と思います。中二臭さというか（笑）。でも、それがあるからこそ入りやすいと思いますので。
―今回のジャケットのコンセプトは？
今井：「ただ一つの物語」を収録している時に、ジャケットについて話し合ったのですが、レコーディングが終わった時間は、まだお店が開いている時間でしたので、「じゃあ今から衣装を買いに行く？」という話になって。勢いで決めた部分があったのですが、そういう決め方をしたからこそ、今までと違う、躍動的なイメージになったのかも知れません。
「ただ一つの物語」のレコーディングがスムーズにいき、その勢いでジャケットイメージも決まったので、より新しいものに目が向きやすくなっていたのかも知れませんね。ファッションショーと化すくらい、二人で色々な服を試着しまくりました（笑）。
喜多村：ARTERY VEINのイメージは私たちの中でも「黒」という色があったのですが、私の中でも「パンドラの夜」から「パンドラの箱」が連想され、そのイメージが強くて。「マハラジャ」とか「砂漠」という漠然とした印象があったので、「黒」以外の色を着たい、というコンセプトの元で選ぼうと思ったところ、今井さんから「ガラッと変えて白でいく？」というアドバイスをいただいたのですが、純粋な「白」ではなくちょっとボロボロになった感じの衣装の方がいいんじゃないか？ など、話し合いながらお互いのイメージをだんだんとすり合わせていって。
今回は、衣装選びもとても楽しめました。何かの機会にこの衣装をまとって、皆さんにお披露目できたらいいな、と思います。
―10月にはCD発売記念イベントも行われるということですが、二人で歌われる時の心境は？
今井：緊張しますよ！ 一人で歌う時の10倍は緊張します。ARTERY VEINの曲は、サラッと歌っているように見えて本当に難しい曲が多いんです。音程やリズムをとる部分がすごく静かだったり、ハモリだけで聴かせないといけない部分がすごく多いんです。（店内で行われることの多い）発売記念イベントだと、ライトなどの演出でごまかせない空間が多いので本当に緊張します（笑）。ただ、歌う前は本当に緊張するのですが、歌った後はとても気持ちがいいんです。二人の声質は全然違うのに、合わさると不思議と合って。
喜多村：「私は、今日はこの曲はハモリだけだから」というのではなく、引っ張っていくパートがお互いにあって、両方ともメインボーカルなので、一つ間違えてしまうとメチャクチャになってしまう、というのがARTERY VEINというアーティストの難しさだと思いますね。みんなで大事に作ってきた曲なので、前準備での段階の緊張はお互いに強くて。
今井：サウンドチェックのリハでも「もう一回やっておく？」と何回も練習するんですよね（笑）。
喜多村：練習時間が中々取れないこともあるのですが、今井さんは本番ではビシッと決めてくるんですよ。ですから、イベントがある度に「この経験を次に生かしたい」「もっと向上しなきゃ」と思うんですよね。次のステージではこう見せたい、という希望やイメージが生まれてくるので、それが「いつかARTERY VEINで大きい舞台に立ちたいな」というモチベーションにつながっています。
―最後に、ファンの方にメッセージをお願いします。
今井：1stと2ndシングルの間が結構空いていたのですが、2ndから3rdはあっという間でしたので、ファンの皆さんの期待の高さを、この流れの中で感じております。皆さんのお手元に「パンドラの夜」が無事に届くよう、祈っております。まだ全然決まっていませんが、ゆくゆくはアルバムが出せるほど、期待していただけますと幸いです。是非たくさん聴いて下さい！
喜多村：ARTERY VEINのCD、気づけば3枚目ということで、とても嬉しいです。そして全てのCDにタイアップ曲が収録されているということはすごいことだな、と思います。ARTERY VEINはイメージコンセプトに制限がありそうですが、歌い手をはじめとする人たちの見せ方が、毎回同じにならないように、常に安定したクオリティーで保てれば、ということを考えた結果、こうして3枚目のCDが出せたということを嬉しく思います。
今後、ARTERY VEINの魅力をどのように見せていけるか注目していただければと思います。よろしくお願いします！
＜Text／ダンディ佐伯・Photo／藤本 厚＞
＜インフォメーション＞
3rdシングル「パンドラの夜」
（PSP『コープスパーティー ブックオブシャドウズ』EDテーマ）
2011年8月24日発売
FVCG-1169
税込￥1,260
01. パンドラの夜
作詞・作曲：濱田智之 編曲：悠木真一
02. ただ一つの物語
作詞・作曲：濱田智之 編曲：悠木真一
03. パンドラの夜- off vocal –
04. ただ一つの物語- off vocal –
☆イベント情報
「パンドラの夜」発売記念イベント
【東京】AKIHABARAゲーマーズ本店
2011年10月16日（日） 12：30開場 13：00 開演
●ARTERY VEIN オフィシャルサイト
http://5pb.jp/records/sp/arteryvein/